柚葉に言えなかったのは、彼女が出来た事で柚葉が離れてしまうのが怖かったんだ。それに小野みたいなチャラチャラした男が柚葉の側に居るのも気に入らないのも確かだ。

彼女は女子バスケット部の二年生。肩までの髪の長さで黒髪、顔立ちも美人系の大人っぽい雰囲気の彼女は、華奢な割にジャンプ力があり女子バスケではエースの仲間入りをしている。

彼女と比べて柚葉は昔から髪の色素が薄く、茶系の髪色をしている。手入れされているロングの綺麗な髪、目鼻立ちはパッチリとしていて色白で人形のような彼女は学校でも目立つ存在だ。

昔から俺と居たせいか、女の子の友達があまり居ないようにも感じている。

「祥平君、何だか上の空ね…」

昼休み、彼女と昼食を取っていると彼女が心配そうに俺の顔を覗き込んできた。

「そ、そんな事ないよ。ごめん、ごめん…!」

「大野さんの事、気になる?いつも一緒にお弁当食べてたんでしょ?…ごめんね、わがまま言って…」

「違う、紗夜(さや)が悪いんじゃないんだ。俺がちゃんと柚葉に付き合ってるって言ってないから悪いんだ」