「好きです!付き合ってください!」

桜の舞う、恋の季節

私、望月 涙愛は、

「あれ?言ってなかったっけ?」

人生初の告白をし

「へ?」

「ごめん、俺彼女いるから」

呆気なくフラれてしまった。


放課後。
私は公園で泣きじゃくっていた。
というか泣き叫んでいた。
通りすがる人はぎょっとして見て見ぬふりをしていたが、そんなのお構い無しに泣き続ける。

「うわあああん!!彼方のばかあああ!!!」

「…俺が泣かしてるみたいだからやめてくれる?」

彼方は、一個上で、お兄ちゃんみたいな存在。
辛いときに無理してたら一番に気づいてくれて、相談に乗ってくれた。
そんな優しい彼方が大好きだった。
そんな彼方に、

「まさか彼女がいたなんて…」

「え?まさか気づいてなかったの?」

「え」

「うわ、鈍感」

「愛梨には言われたくない!」

芹沢 愛梨。
いつも相談に乗ってくれる一個上の優しい友達。
のはずが今日はツンツンしてる。
あ、愛梨って名前かわいいけど一応男。

「そもそも俺に恋バナしてる時点で鈍感だよな…」

はぁー、と大袈裟にため息をつく。

「愛梨のばーか!」

いつもバカにされてイライラするけど、なぜか愛梨と話してると元気がでるんだよね。
だから愛梨のこと大好き、なんて恥ずかしいから口が裂けても言えないけどね。


その日は、散々愛梨に愚痴を言って帰った。


愛梨は、親の転勤で神奈川から広島に引っ越してきた。
趣味とか、気が合うからすぐ友達になった。
私と違ってものすごく頭良いし、運動神経いいし、悔しいけど、顔も良い。
正直めちゃくちゃモテる。
男に告白されたって聞いた時は流石にびっくりしたけど。
そんな愛梨が、私なんかと仲良くしてくれるのが不思議ではあるがものすごく嬉しい。
私は中三で、愛梨は高一だから会えることは少なかったけど、愛梨は私にとって自慢の友達だった。