教室のドアを開ける時はいつも緊張する。
何もないか。
上から物は落ちてこないか。
死角から何かが飛び出してこないか。
用心に用心を重ねないとどんな目に遭うか分かったものじゃない。
注意をしても完全ではないけれど、何もしないよりはいい。
できる限り何も気にしていない風を装って教室に入ると、ドアには何も仕掛けられていなかった。
リサ達も知恵をつけているけれど、わたしだって馬鹿じゃない。
注意もするし、あらゆる可能性を予想してくる。
こんなことは時間の無駄だしバカバカしいけれど、最小の傷で抑えるにはここまでするしかない。
自分の机が無いのはいつもの事。
探さないといけない。
掃除用具入れ、ゴミ箱の近く、ベランダ、トイレ、と見て行くが今日は見当たらない。
きっと新しい隠し場所を見つけたのだろう。
見つからなければ空き教室にある机を運んでくればいいだけだからいいんだけど。