私だけのヒーロー




「たぶん、羽鳥ってやつも可愛いって思ってたんだと思うよ。それが恥ずかしくて、からかっちゃったんじゃないかな」

「絶対ないよ。こんな私を好きになる人なんていない」



私がそう言った瞬間、たっくんが立ち上がってこっちに近づいてくるのが分かった。



たっくんは、ベッドの隣にあぐらをかいて座り、チラッとこっちを見てきた。



「ここにいるよ。さゆのこと、好きなやつ」

「……」

「さゆのこと、ずっと好きなんだ」



たっくんの切ない声に、私まで切なくなってくる。
 


私だって、たっくんのことが好き。

大好きだ。



でも、どうしても、あと一歩が踏み切れない。



「私には恋愛できる勇気がない。素の自分を見せる勇気だってないんだもん」

「そんなの俺だって同じだよ」

「え……?」

「コンプレックスがない人なんてこの世にいないと思うよ。俺だって、もっと話し上手になって、さゆのこと笑わせたいなぁとか思うよ」



たっくんが、そんなことを思ってくれていたなんて。

素直に嬉しかった。



「俺はどんなさゆも好き。さゆっていう、存在が好きなんだよ」

「たっくんに、私はふさわしくないよ」

「もう怖い思いはさせない。俺から、女子たちには離すから」



どうやら、奈津子から私がここ最近、過去のトラウマを思い出して怖がってることを聞き出したらしい。



「でも、迷惑かけたくない……」

「ふざけんなよ。俺が守ってやるって言ってるじゃん。お願いだから……さゆの本当の気持ちを教えて」



たっくんの想いが真っ直ぐ伝わってくる。



周りに振り回されて、一度はたっくんのことを諦めようかと思ったけど、やっぱり最後に残る気持ちは……たっくんを好きって気持ち。