私だけのヒーロー




近い近い……!

今度こそ、本気で無理!!!



あと少しで逃げ出そう……としたそのとき、「あっくん」と聞き覚えのある声が聞こえてきた。



その声の主はたっくんで、まさかのたっくん登場に驚きを隠せない男の子たちは、「俺ら、失礼しまーす!」と、小走りでその場を去って行った。



久しぶりのたっくんに、どうしていいか分からない私は、ただただその場で立ち尽くした。



「クラスの男子たちから密かに人気があるらしいよ」

「え?」

「今のやつらも、さゆのことが気になってるんじゃない?」

「そんなことないよ……」



チラッと横を見ると、不機嫌そうなたっくんがいた。



「まぁ、俺には関係ないか」



たっくんはそう言って、先をどんどん歩いて行ってしまった。

助けてくれたのかと思いきや、最後はなんだかイライラした口調でしゃべってて、いつもと明らかに違うたっくんに戸惑いを隠せなかった。



初めての恋に初めてのデート、そして初めてのすれ違い、初めて尽くしの生活を送っていたせいか、ある日、私は熱を出して学校を休んだ。



ちょうど女の子たちに囲まれることが苦痛になっていたので、学校を休めて、内心ホッとした自分がいた。



久しぶりの熱に、午前中はほとんど寝て過ごし、お昼ご飯のおかゆを少し食べ、再び眠りについた。



コンコン、というドアを叩く音で起きた私は、ふと時計に目をやる。



夕方の4時だと分かり、約2時間半寝ていたらしい。

たくさん寝たからか、なんとなく体が楽な気がした。