私だけのヒーロー




そんなある日、家庭科の授業を受けるため、家庭科室まで移動しているとき、持っていた教科書と筆箱が手から滑り落ちたことがあった。



奈津子は風邪で休んでいて私ひとりのため、恥ずかしさから急いで拾おうとした……そのとき、後ろから同じクラスの男の子3人が拾ってくれた。



「あ、ありがとう……」

「いいよいいよー。ほら、最近小川と一緒にいないから、俺らが助けてあげなきゃなって、話してたんだよね」



話したこともない男の子たちが、拾ってくれた教科書や筆箱を渡してくれた。



そして、流れで私の両隣に並び、そのまま歩き始める男の子たち。



たっくんは、どんなに近くにいても平気だったのに、やっぱりたっくん以外の男の子はどうも苦手で……隣で歩いてるだけでも違和感を感じてしまう。



「小川に告白されたって本当?」

「今一緒にいないってことは、さゆちゃんが小川のこと振ったの?」

「じゃあ、俺らの誰かもさゆちゃんと付き合える可能性があるって思っていい?」



初めて話すのに、真実じゃないことを本当のことのように話す男の子たちに、だんだん苛立ちを覚えた。



たっくんと普通に話せるから、もしかしたら男の子が苦手なのも克服できたんじゃないかって思ってたけど、それはどうやら違ったみたいだ。



「ほんと、たっくんとは何もないから……」

「え?! たっくん?! たっくんって呼んでるの?! なら俺も敦(あつし〜)だから、あっくんで呼んでほしいなー」



とっさに出てしまった"たっくん"に注目され、恥ずかしくなって歩いていた足を思わず止めた。



「あれ? どうしたの?」

「大丈夫! あの、先に、行っててください……」

「ええー、いいよ、待ってるよー!」



私が嫌がってるのも、まったく気づかない男の子たちは、再び私の近くまで来て、今度は「どうしたの? 具合悪いの?」と顔を近づけてきた。