私だけのヒーロー




帰りのホームルームが終わり、また女の子たちに囲まれる前に帰ろうと席を立つと、目の前にはたっくんがいた。



「あのさ、今日、一緒に帰らない?」


 
まさかの帰りのお誘いで、正直とても嬉しかった。

でも、頭によぎるのは今日1日付きまとわれていた、たっくんを好きな女の子たち。



「ごめんね。今日はちょっと用事があって……」


 
これで一緒に帰ったりなんかしたら、さらに明日質問攻めにあうんじゃないかと思い、とっさに断ってしまった。



悲しそうなたっくんの顔を見て心が痛み、居てもたってもいられなくて、その場から逃げるように教室を後にした。



……きっと、嫌われただろうな。



けど、一緒に帰る覚悟もできない私なんか、嫌われた方がいいのかもしれない。



そもそも、たっくんと私が釣り合うわけがないんだ。



それでも、さすがに逃げるように出てきちゃったのは悪かったなと思って、たっくんに謝ろうとした。



次の日、タイミングをみて、たっくんに声をかけようと思ったけど、私もたっくんも女の子たちに囲まれていたため、近づくことさえできなかった。



謝ることも、告白の返事をすることもできず、私とたっくんの間には、距離ができてしまった。



私は、周りにいる女の子たちの視線が気になってしまい、無意識のうちに、たっくんが近くに来ると避けるようになった。



申し訳なさがありつつも、自分の心の弱さは変えることができず、約1週間、たっくんとは一言も話すことなく時間が過ぎた。