私だけのヒーロー




それでもたっくんは離してくれることなく、結局水族館の最後まで私たちは手を繋いでいた。



暗かったこともあり、奈津子たちは気づいていなかったらしい。



家に帰ってから奈津子に電話で報告と相談をした。



『きゃー! おめでとう! それはもう付き合う以外ないでしょ!』



奈津子に確認しても、やっぱりたっくんからまさかの告白をされたらしい私。



両思いだと分かり、今までに感じたことのない夢の中にいるような心踊る気分だった。



次の日の日曜日は、柄にもなく夕飯を作ったりなんかしちゃって、お母さんとお父さんには当然不思議がられたけど、私の頭の中はたっくんのことでいっぱいだった。



月曜日、学校に着くや否や、たくさんの女の子たちに一瞬にして囲まれた。



「ねえねえ、拓海くんに告白されたって本当?!」



1人の女の子がそう言ってきて、面白がるように周りの子たちも私のことをじっと見てきた。



「えっと、それは……」



笑われながら、大勢に囲まれるこの感じ……天パをバカにされたあの頃を思い出して、すごく嫌だ。


  
落ち着くために目をギュッとつぶってみるものの、トラウマになったあの時の場面が、脳裏に浮かぶ。



「はいはーい。もうホームルーム始まるから自分のクラスに戻ってー」



そこで、現れた奈津子が私を取り囲む女の子たちを追い払ってくれたおかげで、私は何とかパニックにならずに済んだ。



渋々その場からいなくなった女の子たちが、口々に「あんな子が好きなの?」「拓海くんがあんな子好きになる?」と言ってるのが聞こえ、精神的にはかなりやられた。



「ありがとう、奈津子」

「いや、むしろ、さゆ大丈夫? ああやって囲まれると昔のこと思い出しちゃうんじゃない?」



天パをバカにされた過去のことを奈津子には話し済みで、優しい奈津子は助けてくれた上に心配までしてくれた。



「でも、何でたっくんが告白したこと知ってるんだろう」

「さっき他のクラスの友達に聞いたら、あたしたちが水族館に行ってた日、同じ学校の女子たちも水族館に来てて、小川拓海のことが気になってたからか、ずっと後つけてたらしいんだよね」

「そうなの?! じゃあ、私たちの会話聞かれてたってことか……」