私だけのヒーロー




「あのー……、ごめんなさい」



頭を抱えるたっくんを見て、さすがに失礼なことを言ってしまったと思い、私も同じようにしゃがみ、背中をそっと撫でた。



腕から少し顔を上げてこっちをチラッと見るたっくん。


 
どうやら完全に拗ねちゃったらしい。


そりゃそうだ。

勝手に遊び人扱いされてたら誰だって嫌な気持ちになる。



「ごめんね。たっくんモテるから、てっきり女の子には慣れてるのかと思って。ほら、私を助けてくれるときも、なんだか慣れてるから……」

「そもそも、俺が基本興味ゼロなのは、さゆだって知ってるだろ。モテてるかどうかもどうでもいいし、俺は興味があるものにしか自分から動かないよ」



え? ってことは、私を助けてくれたのは私に興味があるからってこと……?



たっくんの言葉をどう解釈すればいいのか分からず、必死に考えてみるけど、答えは出ない。



「さゆのこと、ずっと好きだったんだけど、気づいてた?」



周りにいる人たちの話し声の中で、たっくんの声だけが鮮明に聞こえる。




恋愛経験がない私でも、今のがどういう意味かは聞かなくても分かる。



「私のことが好き? たっくんが?」

「うん」



私のことを真っ直ぐな目で見てくるたっくんから、不思議と目をそらすことはできなかった。



「小さい頃から、ドジなさゆが放っておけなくて可愛くて、ずっと好きだったんだ」



たっくんが私を好き。

夢のようなその現実を、あまりにも恋愛から離れすぎてた私は、すぐに受け止めることができなかった。



「ずっと言おうと思ってたんだ」



返事をするタイミングを完全に失い、ここで奈津子と雄太くんと春くんがトイレから戻ってきた。



次のコーナーへ行くためにその場を動こうとしたら、たっくんに優しくて手を握られた。



「危ないから、手繋いでろ」

「いいよいいよ! 大丈夫だよ!」