私だけのヒーロー




モテモテなたっくんのことだから何回も来たことがあるに決まってる。



きっと水族館や動物園なんて女の子と数え切れないくらい来たことがあるだろう。



聞かなくても知ってることなのに、どうして私ってば改まってこんなこと聞いちゃうんだ……。



自分のドジさ加減に呆れる。



たっくんの口が開くのを見て、思わず聞こえないように両耳を塞いでしまいたい気分だけど、さすがにそれは失礼だから、しっかりと現実を受け止めることにした。



「ここっていうか、デート自体したことない」

「へ?」

「デート以前に、女の子と出かけたことがない」



私だけ、時間が一瞬止まった。


  
たっくんがまさかのデート未経験?!

そんなことある?



何かの聞き間違えかと思って、確認のため両耳やほっぺを引っ張ってみた。



「デート、したことないの?」

「うん」

「一度も? 女の子と遊んだことは?」

「一度もないし、遊んだこともないよ。そもそも、遊ぶのに女がいたら断ってる」



改めて聞いても聞こえてくることは変わらない。



たくさんの女の子と遊んでると思っていたたっくんが、むしろ、一度も女の子と遊んだことがないなんて。



「付き合っていた人は、いるよね?」

「いないよ。彼女できたことない」



今までの私の中のたっくんのイメージが一瞬にして崩れていく……。



「モテるから、たくさんの女の子と遊んでて、彼女もたくさんいたんだと思ってた……」

「待って待って。それ、さゆの中の俺のイメージ?」

「うん」

「遊び人で、付き合った経験もたくさんあるんだろうなって思ってたってこと?」

「うん」



うなずく私に、たっくんは相当ショックだったのか、その場でしゃがみ込みうなだれた。