私だけのヒーロー




"デート"って言葉に敏感になっている私は、あからさまに変な反応をしてしまった。



奈津子や雄太くん、春くんがまだいたからこそ、たっくんとのお出かけに余裕を持って挑めていたことを今さら知る。


  
本当にたっくんと2人きりになって、まさかたっくん側からデートの言葉が出てくるなんて想像もしてなかったから、どうしていいか分からない。



昨日の夜、いろいろシミュレーションもしたけど、2人きりになることは想定外。



「俺とデートは嫌だった?」


 
私のことを子犬のような目で見てくるたっくん。

嫌なはずがない!



何て言ったらいいか分からなくて、とりあえず全力で頭を横に振って嫌なわけじゃないんだとアピールした。



「なら良かった。俺も、さゆとこうして出かけられて嬉しい」



こんな私なんかに、そんなことを言ってくれるたっくんは、本当に底なしの優しさの持ち主に違いない。



こういうとき、なんて返事したらいいのか分からず、いつも無言になってしまう。


 
さすがに沈黙が続くのは申し訳ないので、私なりに話題を作ってみた。



「ここは、デートで来たことあるの?」



だが、絞りに絞って出た質問は、今1番聞きたくないことで、心の中では”自分の馬鹿野郎―!"と叫びまくっていた。