私だけのヒーロー




恥ずかしさから、すぐに起き上がれずにいると、たっくんが手を差し伸べて起き上がらせてくれた。



そのまま水槽の前まで来た私たち。



私の腕とたっくんの腕が当たるほどの近距離に、私の鼓動は速くなる。



もはや、さっきまで本気で可愛いと思えたペンギンさえも視界に入らないくらい、隣にいるたっくんに意識が集中してしまう。



「あ、今度はさゆのところにずっといる」

「そうだねー」



完全に心ここに在らず状態の私は、助けを求めるために奈津子を呼ぼうとした……けど、そういえば少し前から奈津子が見当たらない。



そういえば、雄太くんと春くんもいない。



「あれ? 3人ともどこ行っちゃったんだろう?」

「さっきトイレ行くって言ってたよ」



あぁ、なんだ。

私が聞いてなかっただけなのかな。



ともかく、3人がトイレにいると分かって、安心したと共に……今、自分が置かれている状況のせいで、プチパニックになりそう。



まさかの水族館でたっくんと2人きりなんて。


こんなの、た、ただの、ただの……。


心の中でも簡単には出てこないワード。



「なんか、2人だけだとデートみたいだね」



そのワードを、いとも簡単に言ってしまうたっくん。



「そっ、そうだね! あ、えっ?! デート?!」