今日は妹が二十歳の誕生日を迎える。車をかっ飛ばし過ぎたせいで予定より一時間も早く待ち合わせ場所についてしまった。まあ遅れるよりマシだろう。俺は携帯を取り出して、ゲームアプリを立ち上げる。妹が来るまで時間を潰そうーーー。
暫く熱中していると、コンコンと車の窓ガラスを叩く音が耳に入った。ハッ!と我に返り、視線を外にやれば妹がにこにこ愛らしい笑顔を浮かべている。
俺は車のロックを解除し、窓ガラスを下げた。
「久しぶり!小梅、元気してたかよ?」
「うん!久々~!お兄ちゃんも元気そうじゃん」
助手席に乗り込んできた妹にゆるゆるに緩んだ顔面を向けながら、何食べたい?と聞く。
「お寿司!」
「了解!あ、回るとこな」
「十分だしぃ」
車の時計をチラリと確認すると、予定時刻の30分前だった。
………………こういうとこ似てるよなあ。
俺はますます顔面をゆるゆるにしながら、ハンドルを握った。