こくり、こくりと居眠りをする奈央の髪を乾かしながら仁は満ち足りた気持ちになっていた。

こうして自分が奈央の髪を切っている時は自分が奈央を独占できているような感覚を覚える。

毎日雑誌の編集者として忙しく奔走する奈央。

まだ慣れないことも多くて不器用な奈央。

そんな彼女への愛おしさをかみしめながら仁は奈央を起こさないように髪を乾かす。

ほんとうはアシスタントの仕事のヘアドライ。

でも誰にも奈央に触れさせたくない。

自分の独占欲の強さを感じながらも譲れない想いを仁は抱えていた。