「和田先生ですか?仮眠室にはいませんよ。今はオペも入ってないし。休憩ですかね。」
外科のスタッフから情報を聴いた理恵は病院の中を探し始めた。

外科の病棟にもいない。
ナースセンターにもいない。
救命救急センターにもいない。
廊下にも屋上にもいない。

食堂は閉まっていて、自販機の前にもいない。

日勤の後に長時間勤務していた理恵は体力の限界が来てはじめは急ぎ足で探していたのに、やがてとぼとぼとゆっくりを歩きながらあきらめ始めた。

その時。

「理恵?」
その声に理恵が振り向く。
そこは大きなロビーのツリーの前だった。