「おかえりなさい」
「ただいま」
匡祐が自宅へ入ると玄関にはエプロン姿の千晃が立っていた。

「夕飯、もうできてるよ?」
「お腹すいた~。結局帰るの、遅くなっちゃったな。ごめん。」
「うんん。さっき完成したばっかりだから」
そう言って千晃が匡祐のカバンを持ち部屋に向かって行く。

まだ少し歩き方がぎこちない。
これでも事故の後遺症もほとんどなくなっていて、生活に支障が出ない程度まで回復した。

できなかった家事も、どんどんとできるようになり、今では食事のレパートリーも増えている。

「すごいな~」
ダイニングテーブルからはみ出しそうなほどの豪華な夕飯に匡祐はネクタイを緩めながら見入った。