頬が濡れていた。
その事実にさえ、しばらく気付かなかった。
美亜はもうどこにもいなくて、さっきのは夢かもしれないって。そう思い込もうとした。
けれど…
『心咲…?』
君が目の前にいた。
結局、涙は流れっぱなしだ。
どうしよう…
なんて言おう…
「ごめんね」
『…なんで心咲が謝るんだよ』
「私、ずっと怖かったんだ。蒼生にキライって言われるのが。だから、逃げてた。蒼生に嫌われないように必死だったの…だから、ごめん」
私のせいで、美亜と喧嘩したのかもしれない。
そう思うと、なおさら涙が流れた。
『…ふふっ』
なのに。
君は笑った。