その日も2人は仲良さげに喋っていて、君の隣に行くことさえできなかった。
心の奥底から真っ黒な影が現れて、私を蝕んでいく。
私は抗うことも食い止めることもできずに、
どこか客観的にそれを眺めていた。

そんな自分が、嫌だった。


でも、そのとき。いつもと違う光景が見えた。


君が、怯えるような表情で美亜を見つめている。
やがてそれは、怒りという感情をもって現れた。
一方の美亜は、嗤っていた。
いつも以上に楽しそうなその顔を見て、恐怖を感じる。
近付いては駄目。
私の直感がそう言っていた。


「ねぇ心咲、ちょっといい?」

ノーとは言わせない物言い。
とても美亜の言葉とは思えなくて、怖い。