それに、私が君に告白できないのには、ちょっとした理由がある。


それは──

『そういえばさ、心咲が好きなバンド教えてくれたじゃん?あれの良さがわからない』

「…」

趣味が合わないのだ。
それはもう、絶望的なくらいに。

『ごめん…でも、嘘つくのはなんか違うなと思って…』

「うん。正直に言ってくれた方がいい!」

そうは言っても、私の胸中は穏やかじゃない。
君のキライなものは、たいてい私の好きなものだから。

感情を共有できないのは、ちょっとだけ切ない。
心の奥がチクチクする。

それを君に悟られないように笑うので精一杯だった。