食事をすることも許されず、小さな檻の中で、パパと、ママと、カルナが、美味しそうにおやつを食べているのを、わたしはただ見ているだけだった。

わたしの視線に気が付くと、パパは「卑しい顔をするな」と言って、熱い紅茶をわたしに浴びせた。

背中にも、足にも。

ヤケドはヒリヒリと痛んだが、ママはわたしを見ることなく、カルナと一緒に笑っていた。


わたしはママが笑っている顔が好きだった。

カルナと一緒のママは、いつも幸せそうだった。わたしを見る時とは、全然違う。


カルナにはタバコを押し付けたりしない。カルナのカラダは傷一つ無く、きれいなまま。カワイイカルナ。イトシイカルナ。

わたしは髪で顔を隠そうとして、それが、顔を隠せるほど長くない事を思い出した。切ったのはカルナだ。

カルナにとってそれは、ただの遊びだった。

檻の隙間から小さな手でわたしの髪を掴んで、はさみで切った。子供用の丸いはさみは、きれいに髪を切ることができず、刃に絡まった髪がブチブチと音を立てて、わたしの頭皮から抜けた。

パパもママも、カルナには何も言わなかった。だってカルナは、イイコだから。