誰だったかな。
確か男子だったような気がするけれど。
んー、と考えながら開けっぱなしだったお弁当の中身を口に放り込んでいく。
そして最後にプチトマトを放り込んだとき、横で光がため息をついた。
やっと抗議を諦めたらしい。
「日向くんだよ、日向くん」
「日向…?」
って誰だ。
首をかしげた私に光は「あんたねぇ…」と少し呆れたような顔をする。
「クラスメートの名前くらいそろそろ覚えなよ…」
「……あは」
「………まぁそれは置いといて。
ほら、よく赤嶺くんと一緒にいるやつ。
ひょろっとした茶髪の……あ、戻ってきた」
言いながら光が教室の戸のほうに目を向ける。
数人の男子が何やら話ながら入ってくる。
その中に光の言ったような細身の人がいて、あぁ、と思い出す。
見たことがある。
数少ない、1年の時からのクラスメートだ。
「……日向くんと赤嶺…くん、って仲良いの?」
「んー、いつも一緒にいるしねぇ。
布施さんがいるときもたまにいるし」
「………そう、なんだ」
…あの二人の、友達。
もうあんまり、関わりたくないのだけれど。
日向くんを見ると、自然と赤嶺も視界に入ってきてすぐにそらす。
こんな状態で、先輩から預かった手紙を私は彼に渡せるだろうか。
「………大丈夫、…」
空になったお弁当箱をしまいながら小さく小さく呟く。
そうだ。日向くんが彼と居ないときに渡せばいいだけの話だ。
べつにそんなに困るようなことではない。
それでも無理そうなら、光に一緒に来てもらおう。
もう、半年くらい経ったんだ。
大丈夫に、ならなきゃいけない。
