「もう一人にも渡しといて。
…そういえば、君は委員長?副?」
「え、あ、そっか……。
……………あれ、どっちだったっけ…?」
2年になって1ヵ月と少し。
楽そうな委員に…とやる気なんて微塵もなく適当に立候補した私には、委員長副委員長なんて頭になかった。
となれば記憶にないのもまぁ頷けること……かな…。
我ながら疑問は残るが。
「え、そこわかんないの?」
「…はは…、すみません、そこも含めて確認しておきます」
いたたまれない。
風紀を正すための委員がこんなやつで大丈夫か、と先輩は思ったことだろう。
乾いた笑いでごまかす私に案の定先輩は呆れを滲ませた。
「うん、よろしく」と、小さく笑う。
ちなみに、これまでずっと私たちの様子をうかがっている周りはその笑みにも飽きずにさざめいた。
注目されていることに今更ながら肩身の狭さを感じる。
少し笑みをこぼすだけでこんなに反応されるってすごい。
男の稀少種の名は伊達じゃないんだなぁ…なんて。
そんな私の内心など知らず、先輩はくだけた笑みを引っ込めて先輩然と居住まいを正した。
「じゃあまた金曜日。忘れないように」
「あっ、はいっ」
「いーお返事」
また相好を崩す先輩の手がぽんぽんと頭に乗る。
やはりざわめく周囲がうるさい。
ちらほらと「いいな」「羨ましい」と聞こえる小声を私は努めて聞こえない振りをした。
思わず手を頭に持っていった私を一目満足そうに見て、先輩は去っていく。
かすかに爽やかな香りが残った。
