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あの日から、少し時間が経った。



「ふみー!」



私はひとつ学年が上がって2年になった。
通学路には新入生の新しい制服が目立つ。

気だるげに歩いている人が多いなかで響く場違いともいえる明るい声は、この1ヶ月毎日のように聞いているものだ。



「おっはよっ!」

「おはよう、(ひかり)



振り返る前に私の横に並んだその人は、その名前のごとく、大きな猫目を細めて輝くような笑顔を湛えていた。

金色に近い髪が揺れて、日の光を弾いた。
キラキラと星屑が瞬くようで少し眩しい。

その彼女の小さな変化に私は首をかしげた。



「なんか今日は雰囲気違うね」

「うわ、やっぱわかる?
前髪自分で切ってみたんだけど切りすぎてさぁ」



「もうやんなっちゃうよ」と口をへの字に曲げる光に苦笑する。

別に変じゃないし、そんなに気にすることないのに。

素直にそう告げれば今度はにぱっと口角を上げた。



「本当?」

「ほんとほんと。かわいいと思うよ」

「ん~もう好き~」



歩きながら肩をぶつけられて、私は少しよろめいた。
こういったちょっと変わったスキンシップも、この1ヶ月で慣れたものだ。
今まで私の周りにはいなかったタイプで結構面白い。



二人で話しながら下駄箱で靴を履き替えて、また並んで教室に向かう。



学年が変わると共に教室も変わった。
光を含め、今のクラスメートはほとんどが知らない人だった。
だから私はある程度は新しい学校生活を迎えていた。



けど。