抱きしめて、離さないで





「じゃあ今行っちゃおうよ。
集まり明日でしょ?」

「うん」



そう言って席を立った光に頷く。

私は一旦席に戻って、連絡のプリントを引き出した。



別に赤嶺と布施に話しかけるわけじゃないんだから、こんなに緊張する必要はない。

日向くんにこれを渡して、
明日集まりがあるから、って。
連絡が遅くなってごめん、って。

それだけ。



日向くんの席は廊下側の角だ。
そこに赤嶺と日向くんが向かい合う形で座り、布施が赤嶺に寄りかかるように立って話している。

近づいていくと、座っていた二人はその途中で私たちに気づいて、その視線を追って布施もこちらを見る。
私はできるだけ日向くんだけを視界に入れるように努めた。



「なに?」

「あ、うん。これ、風紀委員にって渡されたんだけど」



日向くんの問いかけにぺらりとプリントを差し出した。
それを彼が受けとるのを見て手を離す。



「服装点検…?」

「そう、来週やるんだって。
それで集まりがあるらしくて……、明日なんだけど…」

「明日…って随分急だな」



ごもっともです。

少し眉を寄せた日向くんに私は視線を下げた。



「…ごめんなさい。
本当は2日前に渡されたんだけど……」

「ならもっと早く言えよ。
こっちにも予定があるし、急に言われても困るんだけど」



非難めいた言葉に私は口をつぐむ。
本当にその通りすぎて返す言葉もない。

思わず俯いてしまうと、そんな私を見かねてか、光が「ちょっと」と口を挟んだ。



「別にそんな言い方ないじゃない」

「は?」

「確かに連絡が遅れたのはふみが悪いけど、そんな風に言うほどのことじゃないでしょ」