からふる。~第2話~

そこから長い話が始まった。



「あたしはここの寮の経営者で寮母の沼口薫。57歳で身長156センチの体重63キロの見事な中年ばばあってなわけよ!毎日イケメンに囲まれて幸せ太りしちゃったわあ!アッハッハ!」


「あの...イケメンって...」


「そうそう。ここね、男子寮なんだよ~。
7月30日現在9名が生活してて朝晩2食付きで月額7万。ラッキーセブン!」



男子寮か...。


しかも同年代の人のお世話ってことだよね?


自分のこともままならないのにそんなこと出来るの?


それ以前に男子寮で私みたいな年頃の女子が働いていいの?


両親に知られたらなんと言われるか...。


恐ろしくて考えただけで身震いする。


手汗が半端ない。


エアコンがガンガン効いているというのに汗が出てくるなんて...。


ここまできて後悔してしまう。



「皆個性的だけど、いいヤツなんだよねえ。昨日なんか黒ちゃんが...」


「あのぉ...私も自己紹介をさせていただきたいのですが...」


「ああ、ごめんごめん。勝手に始めていいよ」



私は立ち上がり、沼口さんに一礼してから話し出した。