俺は、金持ちの親に生まれた子だ。

暮らしに不満を持ったことはない。

しかし、数時間前から……


感じるのは不満ばかりだ。


親が、転勤でアメリカに行くことになった。

仲のいい両親は、一人っ子の俺を残して、二人で行ってしまった。

そのため、今日から、俺の専属メイドが…………
ぐへへへへへ……可愛い子かなぁ…。

親からは「礼儀正しくて、可愛い子」って言われたからなぁ……期待。

…と思っていた所に現れたのは…ってええっ!?

扉を開けて現れた少女は、俺の目の前に立ち、いきなり自己紹介を始めた。


「きょっ、今日からメイドを務めさせていただきますっ、村瀬実乃梨です…っ!…えっと……その…よ、よろしくお願い致しますっ!」



「……村瀬さん…?」

「ふぁっ、ふぁいっ…!な、なんでしょうかっ、ご主人様っ!」


村瀬実乃梨。

学年一の天才と言われ、先生からの信頼も厚い。

それに加え、美少女だ。

そして何より………



学年一のツンデレラだ。



そんなやつが、なんで家にいるんだよ!?



「ご、ご主人様…?」

「ご、ごほん……失礼しました。七岡高校2年3組の村瀬実乃梨さん、なぜここにいらっしゃるのですか?」


「……ふぁっ?」

「ええっと……俺、七岡高校2年2組の、神松奏太っていうんだけど……」

「七岡…高校……?ふ、ふえっ!?…ふ、ふっざけんな!!」


はい、メイドさんに、一瞬で嫌われたご主人様でした。