「全然部員が集まんない!!」
私は泣きつくように(実際泣きついていたけど)親友の夏美と真希に抱きついていた。
「まあねー。文芸部ってなかなかマイナーな部活ではあるかもね。」
淡々とした口調で真希が言った。
「えぇー。そうかなぁ。みんな運動部に入りすぎなんだよ。ほんと1人くらい分けて欲しい。」
「小春そんな落ち込まずに!ほら、なんとかなるって!元気だそーよ!」
うぅ、さすがバレー部部長の夏美。やっぱ体育会系はパワーがすごい。
「じゃ、バレー部の部員1人くらいこっちにちょうだいよー。兼部でもいいからさー。」
「わかったよ、宣伝はしとく。」
「うぅ、ありがとう夏美…。」
でもバレー部からなんてきっと誰も入ってくんないだろーなー。宣伝はありがたいけど。
「っていうか、今文芸部部員何人いるわけ?そんなにやばいの?」
「そりゃそうですよ。真希さん。今の部員は幽霊部員のあなた含め私と2人しかいないんだから。」
真希は名前だけでも文芸部に入ってくれている。真希も野球部のマネージャーと兼部してくれていてほんと感謝してる。
「え!それほんとに言ってる?めちゃくちゃやばいじゃん!廃部の危機だよ!」
「そうだよ!だからめっちゃあせってんだよー!真希もちょっとでもいいから宣伝手伝ってー!」
廃部って改めて言われるとほんとにそうなりそうで怖い…。
顧問の先生からも今年の一年生が3人以上入らなかったら即廃部って言われたし。
あー!去年だったら先輩3人はいたのになー。
「そんなやばいんだ。私にもなんかできることあったら言ってね!
協力するし。」
「ありがとー!夏美ー!あー、ほんと一年生が1人でも入ってくれたらなー。」
「いやいや、1人じゃどっちみち廃部だよ。そんなこと言ってないで明日の昼休みにでも一緒に勧誘しにいこ。」
「真希一緒に勧誘行ってくれるの!?やった!美人な真希と一緒だったら部員すぐ入りそう!」
「何言ってんの。あんた美少女なんだからあんた狙いで多分誰かしら入部してくるわよ」
こんなこと美人な真希に言われたら誰だって嬉しくなるよ。
あ!もちろんお世辞だってわかってるけどね!
それでも思わず頬が緩む。
「えへへ!お世辞でもそんなこと言われると照れるなぁー。」
私がそう言うと
「真希、やっぱ小春は無自覚だね。」
「ほんと無自覚すぎて心配になるわ」
無自覚?2人とも何言ってんだろ?
私が疑問に思っていたら
「楠木先輩居ますか?」
突然私の名前が呼ばれた。
教室のドアの方を見ると
モデルのようなルックスの男の子が立っていた。
っていうか、私のこと先輩って言ったよね?
もしかして!!
私は慌ててドアの方に行くと
「もしかして君、文芸部に入部したいの!?」
私の勢いがすごかったからかその男の子は目を丸くした。