私に攫われてください

「……なかなか物騒なものをお持ちですね」

クラウスが盾にした甲冑には、ボーガンが突き刺さっている。クラウスは甲冑の前に立ち、ボーガンを持つ人物に言った。

「フン。物騒なのは貴様だろう!大事な娘を誘拐しようとしているんだからな!!」

片手にボーガン、もう片方に火の灯ったろうそくを手にした父がいた。

「お嬢様も望まれていることですよ?」

「うるさい!黙れ!!」

父はろうそくを廊下に置き、ポケットから拳銃を取り出す。そしてそれをクラウスに向けた。

「こう見えて、俺は射撃は得意だ。エリーゼを攫うというならお前をここで殺す!」

しかし脅されても、銃を向けられても、クラウスの表情は相変わらず涼しいままだ。

「本当に娘だと思っているのですか?家に縛り付け、エリーゼの意思はお構いなし。あなた方のもとで、エリーゼが本当に幸せになれると思っていますか?」

「黙れ!本当に撃つぞ!!」

「エリーゼは私が幸せにします。……俺が今から攫いますので」