新学期が始まった


休み時間に藤本くんと話した



「この間は、ありがと
オレ、楽しかった」



「うん、こちらこそ…
手袋もありがと
今日もしてきた」



「…なんかあった?」



私が辛そうにしてる時
いつも藤本くんが掛けてくれた言葉



「なんか、佐藤、今日調子良さそうだから」



「うん…
好きな人と、付き合えた…」

私は少し申し訳ない気持ちで言った



「そっか…おめでと

じゃあ、オレ、正式に失恋だね」

藤本くんは苦笑いした



ごめん…

謝りたかったけど
藤本くんは謝られると虚しくなるって言ってた



「いつも、支えてくれて
ありがとう
ホントに、感謝してる」



「うん…
佐藤が元気になってよかった

佐藤の好きな人って、どんな人?
この前、駅で会った人だよね?」




私は、瞬に藤本くんのことを話したように
藤本くんにも、瞬の話をした



家が近所のこと

歳が10歳上のこと

家庭教師の先生だったこと

ずっと好きだったこと

付き合っていたこと

辛かったこと

一度別れたこと

藤本くんのことを褒めていたこと



「佐藤の好きな人に褒められるなんて
なんか、嬉しいな…
今度、テスト勉強一緒に見てもらいたい」

藤本くんはそう言った



「ホントに?
瞬、いいって言うかな…
今度、聞いてみるね」



「しゅん…って呼んでるんだね…
いいな…」


藤本くんに言われて少し恥ずかしくなった



「藤本くんも
次の恋できるよ、きっと…」



「…オレ、佐藤より好きな子が現れないと
付き合わないって決めてる
…結構、本気だったんだ‥佐藤のこと」


私は、申し訳なくて何も言えなかった



「じゃあ、しゅんさんに頼んでみて!
家庭教師
オレ、恨んでないから」



「うん…わかった
お願いしてみるね」



ありがとう

藤本くん



藤本くんがいたから

今、私は笑ってられる