駅から出たところで
「紅」
後ろから声をかけられて振り向いた
…瞬だった…
さっき藤本くんの腕につかまった時より
何倍も鼓動が早くなった
声が出なかった
瞬は、またスーツ姿だった
「今、帰り?」
瞬の声を聞いたら
胸がギュッとなった
「…うん‥図書館で勉強してきた」
「そっか…
オレは休み取ってたから
向こうにいても仕方ないから
帰ってきた」
約束してた
テストの前に帰ってくるって
「…ごめん、なさい」
何に対しての
「ごめんなさい」
なのかわからないけど
私は咄嗟に謝った
私のために取ってくれた休みなのに
ごめんなさい
別れて
ごめんなさい
ウソをついて
ごめんなさい
瞬には
私が言った「ごめんなさい」が
聞こえなかったのか
それに対しての答えはなかった



