肌寒い風が頬を撫でる季節


校庭にある木の葉は茜色に染まりはじめ


トンボが頭上を寒さを凌ぐように飛び回る


私は赤と黄色と橙色が綺麗に配色されたマフラーを


髪と肌を包み込むように巻く




-------秋。


「りんーっ!」


秋が繰り出す景色に見とれていた私は声がする
方向へ振り向く。


「待たせてごめんねー。ちょっと面談が長引いちゃって。」


そう言うのは同じクラスの友だち、永田真理。

まりちゃんと呼んでいる。


「全然待ってないよ。面談お疲れ様」


いや、結構待ったかな。景色に見とれていて時間が経っていたことを忘れていた。


「良かったぁー。そうそう!面談でさぁーー…」


まりちゃんは面談で、第1志望の大学が危ないことについて話されたと、うなだれながら言う。





2年生の秋。この時期からいよいよ本格的に進学について考える。


うち泉高校は、一応進学高で難関大へ挑戦する人も少なくはない。


まりちゃんはそこそこ勉強ができ、難関大を目指すうちの1人だ。そして、私も。



「ああー、勉強頑張らなきゃー。」



そう言いながらまりちゃんは地面に落ちている枯葉を踏み潰す。


「だね、私も頑張らなきゃ。」


私も枯葉を踏み潰そうとすると


北風がびゅうっと吹き、枯葉は急いで私の足元を離れる。


ふぅ とため息をつき、すぐ右にある時計を見る



5時10分



あっ、この時計10分遅れだから20分か。


もうこんな時間か。


そして夕日が'私達の顔を赤く照らしていることに気がついた。


「面談も終わったことだし、そろそろ帰ろっか。」


私はマフラーを巻き直しながら言う


「そうだね、そろそろ帰ろー。日も落ちてきたしね。」


そうして同時に
かなり古びれた校門へ向かい、足を震わせながら歩く。

その時…






バァンッ


何かが固いものが叩かれる音が校庭中に鳴り響いた