可哀想な子

「ああ、もしもし絵流ちゃん? 今空港。もうすぐ乗るからー、え? お土産? なに、明太子? えバナナのやつも? それ羽田じゃん両方で買えと? ……わかったってあーうんちゃんと買いますー、はーい」

しのさんがなにやら空港に着くなり電話をしていた。

"えるちゃん"

「(なんか……聞いたことある)」

ぼんやりと上手く働かない頭では上手く考えられず、思考を放棄した。
きっと、彼女かなにかだろう。

「博多ラーメン最高」
「行きも食べたけどね」
「あんときは麺がちと微妙だった。あ、雅裕、連絡ありがとう。なにか言ってたか?」
「博貴の代わりに明太子とバナナのお菓子を寄越せと」
「まだ反抗期終わらないのかあいつは」

はあーっと大きなため息を吐き、ろきさんが頭を抱えた。

ずる、と麺を啜る。

「(……上手く啜れない)」

昔から、ラーメンやうどんや蕎麦は苦手だ。
けど。

「九十九さん、どう? 美味しい?」
「……おいしい」

ともだちと食べると、なんだかいつもと違う。

「そっか、よかった」
「荷物はもう預けたし、お土産買って搭乗口行くか」
「だな。あれ、九十九さんもう限界?」
「……お店の食べ物って」
「あー量多いか。九十九さんちっせーもんな。……いっ!? 脛蹴るこたないだろ!?」
「しのさんうるさい」

百五十はあるし。……転院したときの計測のときだけど。

「あーいてー……ゆづ、お残しは許しまへんで!」
「え、俺!? いやラーメン好きだけど!」
「勿体ないから食えよー」
「博貴まで……」

ちらりと椎野が僕を見る。

「……え、っと……食べても大丈夫?」
「別に、……ていうか、ごめん」
「いや俺はいいって! 今度外食するときは少な目で頼もうね」
「うん」