「あ、ぼく、やだ……っ、あんなとこ、も、やだぁ……!」
「九十九さん、落ち着いて、おいゆづ!?」
「……ゆづ?」
そっと、僕はあたたかい太陽に包まれた。
ぽんぽんと落ち着かせるように、頭を撫でられる。
「(……あぁ、落ち着くなぁ。着いていかなかったら、もう、撫でてもらえないんだ。もう一生、会えないんだ)」
浮かんだのは、八雲さんでも、祖母でも、父でもなかった。
「しぃの」
君の名を、呼ぶ。
「決まった?」
君は優しく、そう返すのだ。
「……行くよ、横浜」
めろんぱんが寂しく鳴いた気が、した。
僕はその日、比井野に何も言わず、めろんぱんを置いて、四人で少ない荷物を家にあった段ボールに詰め、八雲さんの同級生の引っ越し業者に頼み楽器と、機材と、たった四箱の段ボールをトラックに乗せ、佐世保駅へ向かった。
「九十九さん、落ち着いて、おいゆづ!?」
「……ゆづ?」
そっと、僕はあたたかい太陽に包まれた。
ぽんぽんと落ち着かせるように、頭を撫でられる。
「(……あぁ、落ち着くなぁ。着いていかなかったら、もう、撫でてもらえないんだ。もう一生、会えないんだ)」
浮かんだのは、八雲さんでも、祖母でも、父でもなかった。
「しぃの」
君の名を、呼ぶ。
「決まった?」
君は優しく、そう返すのだ。
「……行くよ、横浜」
めろんぱんが寂しく鳴いた気が、した。
僕はその日、比井野に何も言わず、めろんぱんを置いて、四人で少ない荷物を家にあった段ボールに詰め、八雲さんの同級生の引っ越し業者に頼み楽器と、機材と、たった四箱の段ボールをトラックに乗せ、佐世保駅へ向かった。

