可哀想な子

「洗い物終わったよ」

俺がせめてものお礼に、とお皿洗いを終えると、自室のベッドで踞る九十九君が居た。

「あの……大丈夫?」
「大丈夫だと思う?」
「おもわないっす」

ベッドに踞る家主(たぶん中学生)、立ち尽くすどんくさい客(大学生)。

なんともシュールな光景だ。
きっとこれを雅裕が見たら一生笑いのネタだ。

「そういえば、九十九君の親御さん……もうお仕事行ってるの?」
「親じゃない」
「え」

親じゃないってどういうことだ?
混乱していると、九十九君がむくりと起き上がった。

「アイツは、比井野っていって、僕の叔父の仕事仲間。なんか保護者面してっけど保護者でもねーから」
「あ、はい」

顔怖……。
昨日の天使はどこいったの……。

「比井野、あれでも真面目な警察だから朝早く出てくんだよ」
「え、警察!?」
「おまわりさん」
「国家の実力組織!?」
「ポリ公」

だからピッシリスーツ決まってたのか……。

「え、ていうか叔父の仕事仲間って事は九十九君の叔父さんって」
「叔父は検察官」
「すごい……だからこんなすごい機材……」
「楽器とか機材は全部自分で買った」
「は?」

今幻聴が聞こえました。
やっぱりハードな長旅で疲れてるんですね。

「なにアホ面してんの」
「いや、だってジャズマスターだよ!? スティングレイだよ!? チェロだよ!? DTMソフトとか機材もろもろ……何十万すると……! 中学生が出せる金額じゃないだろ!?」
「は? 中学生?」


「僕次で18だけど」

「はぁああああああああ!?」