「うわっ、朝からこんな豪華なの作っちゃうの!?」
「……おもてなし。折角の旅行が災難だったね」
「ホントそうです……ありがとう……いただきます……」

焼き鮭、卵焼き、さつまいもときゃべつのお味噌汁、ほうれん草のおひたし(常備)。

「ん! 美味しい!! 九十九君って料理上手なんだね」
「……別に」



花蓮ちゃんはお料理上手ねぇ

ばあちゃんこんなに美味しいもの食べれて幸せばい



「そんなことないって! 本当にすごい。九十九君と結婚できる人は幸せ者だなぁ」
「……結婚、か」
「ごめん、もしかして結婚とか鬱陶しいタイプだった?」
「うん」
「あぁ……ごめん……」
「別に、いいよ」
「ダメだよ! 嫌なことは嫌ってちゃんと言わなきゃ」




こんな、ちゃんとした大人みたいなこと言ってくれる人、初めて出会った。


「……いいやつだな、アンタ」
「え? ありがとう? ていうか昨日とキャラ間違い過ぎない……?」
「昨日?」
「昨日」


きのう……。

おねーさんをお持ち帰りしてしまった以上の失態なんてしている筈は……。




「しぃの、どこ行っちゃうの?」

「……しぃの」

「うち、おいで」





「そうだ、しのう」
「まてまてまて!!!! とりあえず座ろう?? ね?? 大丈夫すごくかわいかったから!」
「それだよ!! それが僕の死因だから!!」
「まだしんでないでしょ!?」