可哀想な子

「ありがとうございます、椎野さん……でしたっけ」
「はい。でも元々助けられたのは俺の方で……」
「そういえば君、ホテルは?」
「あ、えっと……その……」

バックミラー越しに、九十九君の親御さんはちらりと俺を見る。

「実は、スマートフォンも財布も無くしてしまって……一緒に来た友人の連絡先も、ホテル取ってくれたのも友人で驚かせたいから何処かは内緒って言われてて……」

困り果てた俺に、九十九君の親御さんは溜め息を吐いた。

「君、何歳でしたっけ」
「ハタチです……」
「はあ……」

二度目の溜め息。

「すみません……あの、俺、どうすればいいでしょう……」

情けない。
やっぱり俺は、誰かに頼らないと生きていけない。

「あ、九十九君」

寝ていた九十九君が目を覚ました。

「しぃの」
「は、はい」
「ん……」
「ん?」

ぎゅ、と俺の手を握る九十九君。

「(手、小さいなあ……)」

中学生、くらい、か?

「しぃの、どこ行っちゃうの?」
「あ……えっと……あはは、どこ行けばいいかなー……」

そう言って頭を掻けば、九十九君はやはりどこかで見たことのある瞳で俺を見た。

「……しぃの」
「な、なに?」
「うち、おいで」
「え」