キミと過ごした、あの夏のキセキ。




ぼんやりとそんなことを考えながらお味噌汁を啜っていると、新聞をテーブルの上に置いたお父さんが、テレビの電源をつけた。

いつも通り朝のニュース番組がやっていて、画面には綺麗な女性アナウンサーさんが写っている。


『続いてのニュースです』


パッと画面が切り変わり、住宅街の映像になった。

左上に書かれていた都市の名前に、えっ、と思わず呟く。


「めっちゃ近くない?」


私がそう言った瞬間、さっきテレビをつけたお父さんが、なぜかテレビの電源を切った。

真っ暗になった画面に、えぇ、と抗議の声をあげる。


「何で切っちゃうのー気になるのに」


私の不満には曖昧な笑顔を返して、お父さんがソファーから立ち上がった。


「もう父さん行かなきゃいけないから。行ってきます」


時計に目を向けると、いつの間にか8時16分。確かにお父さんはもう出る時間だ。


「行ってらっしゃーい」


お母さんの声と私の声が重なって、お父さんがそんな小さなことに笑う、平和すぎる朝の日常。

毎日同じことを繰り返すのはつまんなかったりするけれど、結局はこれが1番安心出来るしほっとする。