《清涼殿》
〜♪


「ここはいつ来てもお綺麗な楽器の音が聴こえますこと。

暁の姫。帝がご覧あそばせなさいますからね。」

「はーい」

「もうっ、暁の姫もお歌合せができるお年頃でしたら良かったのに

わたくしが死ぬ前に姫君と光の君のお歌合がみたいものです」

※お歌合=詩を作り送り合うこと



「王命婦はまだ死なないっ」



王命婦はまだ18歳。まだ若いのに…
そう、この時代は医療も発達してなかったから寿命が短かったの。



「あらあら暁の姫、泣いてしまいましたわ」
「もう少し大人になってください、姫君」
「そうですよ」



もうー!!みんな揃ってそんなに言わないでよっっ




「どうなさったのですか、騒がしいけども」



?!



「帝様。ご覧あそばせなさったのですね」

「「「おはようございます」」」

「ああ。

姫君よ、朝早くからどうしたのです。そんな泣きまくって…」

「お父様あ、だって王命婦が…」

「なんかされたのですか?」

「うーうん、なんもされてない」

「されてないのですか、」
そう言って帝は苦笑した。



「姫君、明後日にはそなたのお兄様である光の君の|《元服の儀》があるのですから。

準備なさってくださいね」

「わかりました、お父様」




そう、明後日は光の君の成人をお祝いする元服の儀があるの。
そこで光の君は正式に結婚が許されるようになるの




「なーんか寂しいや」

「どうなさったのです?暁の姫」

「んーん、なんもない」







お兄様の結婚相手って一体どんな方になるのかしら。