その時、ガチャリと部屋のドアが勢いよく開いた。私とワトソン先生は同時に肩を震わせる。

「ワトソン！和香を現場に連れて行けない理由は正解だが、捜査については間違えているぞ！！」

不機嫌な顔をしたホームズさんが休憩室に入って来る。私は驚き、「ホームズさん、捜査は……」と呟いた。

「つまらん事件だった。元カレの居場所を特定して終わりだったからな」

ホームズさんは私の方を向いて言う。その表情は、ワトソン先生に向けるものより緩い。しかし、ホームズさんの顔はまた不機嫌なものに変わった。

「君は推理をまともにできないし、捜査は僕一人がしているようなものだろ。君は感心するだけで何の役にも立たないな！」

「ええっ！？ひどいよ、ホームズ〜！！」

また始まったじゃれ合いに、私はクスリと笑う。その時、スマホにメールが届いた。アーサーからだ。

「お前、ずいぶん医者と仲いいんだな。あと隣にいる背の高い男は誰だ？」

送られてきたメールに、私は言葉を失う。アーサーが送ってきたとは思えないものだ。まるで、私を監視しているみたいな……。