「そういえば、この前ホームズがさ〜……」

ワトソン先生がため息をつきながらホームズさんの愚痴を話す。何でも、ワトソン先生を騙して実験台にしたみたい。

「私、ワトソン先生が羨ましいです」

「何で?」

ワトソン先生が首を傾げ、私は思っていることを素直に話す。ワトソン先生には秘密も言えたりするんだ。それはきっと、ワトソン先生がとても優しい人だから。

「ホームズさんから頼りにされて、事件現場にも行くことができますから。私、お二人の家に住まわせていただいているのに、きちんとお役に立てているんでしょうか?」

少し不安になる私の手を、ワトソン先生は優しく握る。

「大丈夫!和香がいてくれるから、僕たちも捜査に協力することができるんだよ。和香がおいしいご飯を作ってくれるから頑張れるし」

「ありがとうございます」

そう言われると安心する。私が微笑むと、ワトソン先生は頰を赤くした。

「まあ、事件現場に連れて行けないのは危険だからね。和香が襲われたりしたら大変だし」