そうホームズさんが推理している間にも、メールが届いていく。私は目をそらし、言っちゃダメだと言い聞かせる。

「ワトソン！和香からスマホを取り上げろ！！」

ホームズさんは私を抱きすくめ、ワトソン先生に言う。私は慌てて逃げようとするけど、ホームズさんの方が力は強い。

「ごめんね」

ワトソン先生にスマホを取られてしまった。画面を見たワトソン先生が「和香、これって……」と驚いた目で私を見る。

「何だ？」

レストレード警部とグレッグソン警部も私のスマホを見た。そして、真剣な表情に変わる。

画面に表示されているのは、私に対する脅迫文。そして監視している内容。警部二人の目の色が変わるのも当たり前だ。

ホームズさんは私を離し、椅子を勧める。そこは家に来た依頼者に勧める椅子だった。

「今は、君が依頼人だ。このアーサーの話を聞かせてくれ」

ホームズさんに見つめられ、私は「でも……」とうつむく。言ってもいいのかな？

「大丈夫。我々が全力でアーサーを捕まえる」