ホームズさんはそう言うけど、私の体はびくりと震えてしまう。殺す。その言葉を聞くと、まるで自分が殺されてしまうんじゃないかって……。

「和香？」

ワトソン先生、そしてレストレード警部とグレッグソンの警部が私を見つめる。ホームズさんだけは全てを知っているかのような目をしていた。

「和香」

ホームズさんは椅子から立ち上がり、私の方へゆっくり近寄る。私が反射的に後ずさると、手を素早く掴まれ、引き寄せられた。

「君の嘘はお見通しだよ」

「嘘って……？」

ホームズさんの言葉に、私ではなくワトソン先生が訊ねる。ホームズさんは私を見つめながら言った。

「君の様子がおかしいのは知っていた。だから、観察をすることにしたんだ。君がどういう時に怯えた顔をするのかを……。でも、君は僕やワトソンの前では普通に接している。そして、以前はリビングでスマホを見たりしていたのに最近はスマホをここでは見ない。それは、スマホを僕らに見られてはまずいことがあるから。……違うかい？」