「ところで、今日はどんな事件だったんですか？」

二人から事件の話などを聞いている間は、安心できる。アーサーからのメールを忘れたくて、私はホームズさんに訊ねた。

「今日も、単純な事件だったよ」

そう言いながらも、事件のことを話すホームズさんは楽しそう。「僕も活躍できたよ！」とワトソン先生も嬉しそうだ。

「どうかな？君は犯人が誰か最後までわかっていなかったじゃないか」

「でも、ヒントを言ったのは僕だよ〜！」

二人の話を聞いていると、こんな状況でも自然と笑える。またクスクスと笑ってしまった。ホームズさんとワトソン先生が同時に私の方を見て頰を赤くする。

「何か手伝えることがあったら言ってね」

「食後のコーヒーは僕が作ろう」

二人は笑って言う。私は「ありがとうございます」と頷いた。もうすぐ家だ。すぐにご飯の支度をしないと……。

その時、スマホにメールが届いた。ドクンと心臓が嫌な音を立てる。アーサーじゃありませんように……。そう願いながら、スマホの電源を入れる。