騙し愛

「け、結婚!?何言ってるの!蕾が結婚するのは智くんなのよ!!」

「だから〜!!」

蕾と母親が玄関で大声で話していると、「蕾、帰って来たんだろ?」とリビングから智則が顔を出す。そして、見知らぬイケメンの姿に「はあ!?お前、誰だよ!!」と指差した。

「とりあえず、落ち着いて話しませんか?」

にこやかな表情のまま、俊は言った。



リビングには、何とも言えない空気が漂っている。

リビングの椅子に四人は座り、「どういうことかしら?」と母親は俊を睨みつけた。その隣に座った智則も同様に、俊を敵視している。

「蕾はね、この智くんと結婚するのよ。どこの馬の骨かわからない男に大事に育てた娘を渡すわけないでしょ!どうせ仕事なんてどこかのホステスとかじゃないの?」

失礼な態度に、「お母さん!!」と蕾は声を荒げる。それを「蕾」と俊が制した。

「私の仕事です」

俊はそう言い、ポケットから名刺を取り出す。その名刺を見て、母親と智則は「社長!?」とマヌケな声を出した。