騙し愛

「いや、気持ちよかったらそれでよくない?」

蕾は「最低!!」と送り、スマホの電源を切る。そしてバロンを撫で続けた。

「一体、どうしたら……」

その日の夜、蕾はなかなか寝付けなかった。



次の日、蕾が目を覚ますともう家を出なければいけない時間帯だった。急いで飛び起き、身支度を三分で整える。

全速力で走ったおかげか、遅刻はなんとか回避できた。

「赤城がこんな時間に来るとは珍しいな。何かあったのか?」

俊が会社に着くなり訊ねてきた。蕾は笑顔を作り、「大丈夫です。少し、寝坊をしてしまって……」と誤魔化した。こんなことを誰かに言うわけにはいかない。

仕事をする前にスマホの電源を入れると、母親と智則から百件を超えるラインがきていた。たまに電話もかけられている。

「めんどくさい……」

蕾はため息をつき、仕事に取り掛かった。

仕事を順調にこなし、お昼休憩の時間が近づいてきた。朝ご飯を食べていない蕾は、早くお昼休憩にならないかと時計をチラリと見る。今にもお腹が鳴ってしまいそうで、お腹に意識を集中させた。