「やばい、遅刻だー」

入学式当日。

相宮柚葉、遅刻しそうです。

桜が満開の並木道を、この奥にある学校めがけて猛ダッシュ。

校門が見えかけた時、一本の桜の木を見てる人がいた。
自然と走る速度が落ちて、風がふわっと吹いてその人の顔が見えた。

「・・っ。」

息をのんだ。スラっとっした体形に、儚そうな、今にもどこかに
いってしまいそうな横顔。

どきっと胸が高鳴ったのが分かった。

足が止まってその人を見てしまっているとその人が私に気づいて
こっちを見て微笑んで、どこかへ行ってしまった。

「あ、やば!」

うっかり忘れてた時間を思い出してまた走る。
下駄箱の隣に張り出されているクラス表。

六クラスある中から自分の名前を探す。
私の苗字は相宮だから、一番上をみてくと、六組に名前があった。

こうゆう時は名前が早いほうでよかったと思う。
靴を持ってきたシューズに履き替えてまた教室まで走る。