「突然だったね・・大丈夫亜由美ちゃ・・ん・・。」

こちらを向いた進藤さんが私の顔をみてゆっくりと固まるのが分かった。

「え・・?」



「あの、すみません、騙すつもりじゃなかったんですけど、私実は一重で・・。
ずっと化粧でごまかしてたんです。
実はこの事でトラウマがあって・・それでこの前も怖くなって逃げちゃって・・。」

突然の事態にうまく進藤さんの目が見れない。
しかもなんでこういう時って早口になっちゃうんだろう。

「いや、まって、そんな無理に話さなくてい、いいよ。」

みるみるうちに冷めていく進藤さんの手がついに握っていた私の手をそっと放した。

ぎゅっと胸が締め付けられるように痛い。

ああ・・消えてしまいたい。
これが進藤さんの答えなんだ。

「待ってください、私ちゃんとトラウマと向き合ってちゃんと進藤さんとお付き合いしたくて・・!」

「大丈夫・・まだ日も浅いし、俺もすぐに忘れるし。
このまま付き合っててもお互い辛いだろうし、付き合うっていう話はなかったことにしよう・・。」

さっきの豪雨はどこへやら。
少し雨足が弱まった中、進藤さんはこちらを振り返ることなく歩いて行った。

困った顔・・・してたな・・。

大丈夫ってなにがだろう。
私は何一つ大丈夫じゃない。

全力で向き合おうとして、全力で逃げられた。


振られて雨の中一人で突っ立ったまま動けない。

惨めで、悲しくて、滑稽だ。