愛プチ

そして迎えた金曜日。

集合時間まで少し時間があったので軽くシャワーを浴び、ムダ毛を剃り、ボディークリームで肌を保湿。

カバンにはしっかりと、化粧直しとアイプチも入っている。

付き合ってから記念すべき第一回目のデート・・。
何年ぶりだろうか・・。

嬉しいやら不安やらで付き合う前よりもなんだかソワソワしてしまう。
彼氏という響きがまだかなり気恥ずかしい。

待ち合わせ場所に向かうと、もう既に進藤さんが待ってくれていた。

「すみません！待ちましたか？！」
急いで駆け寄ると、柔らかく微笑んだ進藤さんが、走ったせいで乱れた前髪をそっと直してくれた。

・・・かっこいい、心臓がすでに危ない・・。
それに進藤さんもシャワーを浴びてきたのかほのかにシャンプーのいい香りが・・。

「待ってないよ。行こうか。」
ナチュラルに差し出された進藤さんの手のひらに自分の手を重ねる。

なんだか緊張しすぎて手汗が止まらない。
不思議なもので意識すればするほど手のひらから手汗が噴き出てくる気がする。

「緊張してるね。」

「いや、あの、はい・・。手つなぐの久しぶりで・・。」

「俺も。緊張してる。」
こちらをみて笑う笑顔がもう、たまらなくかっこいい。

なにその、可愛い発言・・。
ずるくないですか・・。

このデート・・現時点で既にお腹いっぱいだが、本番はここからである。
油断してはいけない。
夜はまだまだ長い、勝負は晩御飯を食べてからだ。

進藤さんが行きたいお店があるということで、そこに連れて行ってもらい、今度は居酒屋ではなくおしゃれなフレンチを一緒に食べる。

前回は夜遅くまで飲み食いしていたが、今回はちがう。
お互いに程よくお酒を飲み、1時間程でお店を出た。

時計の針はまだ9時過ぎ。
帰るにしては少し早い。

どきどきと緊張が止まらない。
この先に何があるのか知っているくせに知らないふりをしながら、進藤さんと夜の街中を歩く。

「今日、まだ時間、ある・・？」

「・・・あります。」

覚悟を決める時がきたようだ。

目の前にひっそりとそびえたつラブホテルを前にゴクリと唾をのみこんだ。