月曜から木曜まで、アイプチなしの顔を美月君に毎日見てもらった。
何も言わずただじっと私の顔を数分見るだけ。

最初は1分ですらキツかったが、慣れとは凄いものだ。

最終日の木曜である今日は今までで最長の5分にチャレンジしている。

今まさに目と目が合っているわけだが、私はもうコツを覚えた。
大切なのは相手の目を目と思わない事・・。
そう、これは宇宙。

この瞳は宇宙・・。
悟りを開く事によって平常心を保つ。

ていうかよく理由もわかんないままこんな訳わかんないこと付き合ってくれるよな。
最初めちゃくちゃ苦手だったけど、本当はいい奴なんじゃないかとさえ思えてきた今日この頃。
まあ、ゲームというエサがあってこそなんだけど。

そしてこの五分が終わったらアイプチなしのまま部屋で毎日恒例であるゲームを少しする。

いよいよ明日だから本格的に慣れておかないと。
問題はこれだけじゃないんだけど、そこはもう流れに身を任せてみないと分からない。
やってみないと克服できない領域だからしょうがない。

「五分たったぞ。ゲーム。」
お決まりの流れるようなゲーム移行。


アイプチをせずそのままの顔で二階に一緒にあがった。
思ったよりも全然大丈夫かも。
最初はもうだめだと思ったけど。

これなら明日いける気がしてきた。

「あっ!そういえば明日私帰ってくるの夜中か遅いと思うのでゲームできないかもしれないです!」

「はあ!?んでだよ!!」

「明日は、デートがあるので・・。
彼氏と・・、うふ。」

美月君は照れる私に対しげんなりした顔をしている。
いや、失礼だな。

「・・だから最近あんなルンルンだったのかよ。
明日せっかくレアアイテムゲットできると思ってたのに・・。」

思った以上にしゅんとしている姿はどことなく可愛いが、しょうがないものはしょうがない。

「すみません、でも土曜日はとことん付き合えますから。
いっつもやってるのじゃなくてバムバニとかも一緒にやりましょうよ、私カセットまだ持ってますし。」

みるみるうちに美月君の顔が明るくなる。

「バムバニまだ持ってんの!?
今の言葉嘘じゃねえだろうな!!
言ったからな!!絶対約束だからな!!守れよ!!」

いや、急に念押しの顔が怖いよ。
喜んだあとにそんなに睨むんじゃないよ・・。

はいはいと相槌を打っていつものようにファイミューを始めた。