進藤さんとバイバイをした後、トボトボと帰路につく。

本来ならばルンルンのスキップで帰るところだが、最後の事が気がかりでとてもそんな気分にはなれなかった。
告白してもらえた事はとても嬉しい。

嬉しいんだけど・・・。

最後の進藤さんのなんとも言えないしゅんとした顔を思い出すといたたまれない。

なんか帰りたくないな。
「もう一杯飲んでこうかな。」

フラッとコンビニに立ち寄り、お酒を数本とするめイカをカゴに入れる。
そして缶チューハイを片手にゆっくりゆっくり遠回りをしながら歩いた。

ちょっと遠回りしすぎたかも・・。
再び飲み屋街みたいなとこでてきちゃったし。

ぽつぽつと光る街灯の明かりがにじんでいく。

「いい歳こいて、情けない・・。」
はあーっと深く溜息をつくと誰かが向かい側からこちらに向かって走ってきた。

運転する時は眼鏡必須なので、近くに来ない事には誰か分からないけど、どっかで見覚えあるな・・・。

だんだん近づいてくるその人物を必死に目を凝らして頭をフル回転させる。
誰だっけ・・・。
ほんとにどっかで見たことあるんだけど・・・。


「亜由美ちゃん!こんなとこで一人で何してるの、飲み会帰り?」
私の目の前でピタッと止まったその人は、美月君のお兄さんである隼人さんだった。
わざわざ走って駆け付けてくれたのか少し息が切れている。

同居人の顔忘れるって・・私・・・私ってやつは・・・。

綺麗な顔立ちを見てそうそうこの顔この顔と思い出す。

いや、、でも、酔ってるし・・目も悪いし・・同居人って言っても隼人さん仕事忙しくて家でほぼ会わないから・・。

「えっと・・はい・・飲み会帰りみたいなもんです・・。
ていうかなんで隼人さんこそここに・・?」
酔ってるのを悟られないようにできるだけはっきりと喋る。

「俺も飲み会帰りだよ。
店出て家帰ろうと思ったら亜由美ちゃんっぽい子がいるなーって思って。
こっから家まで結構あるし女の子一人で徒歩じゃ危ないでしょ。」

ああ・・なんていい人なんだろう隼人さんは。
どこかの冷たい弟とは大違いだ。

「私はちょっと歩きたい気分だったので。
気を使ってもらってなんかすみません・・。」

「その様子じゃ、飲み足りなかったんだね。
お酒。」

ふふっと笑った視線の先には、私の両手に握られた缶チューハイとスルメイカ。

穴があったら入りたい・・・。

「一本どうですか隼人さんも。」

「いただこうかな。
俺も今日はまだそんなに飲んでないしね。」

恥ずかしさを紛らわすためにすすめたお酒を隼人さんは快く受け取ってくれた。

この人の良さにこの甘いフェイスでいいとこ勤めてるってなったらさぞモテモテだろうな。
こんなイケメンに缶チューハイとスルメイカを食べさせていることに少し罪悪感さえ覚える。